海外では日本の物件のように建設計画通りに進まないことはままあることなのですが、Aさんが購入契約を交わし、お金を振り込んだ物件は、いつまでたっても建設が始まりません。建設開始予定日はとっくに過ぎています。Aさんは日々販売業者への不信感をつのらせています。これはプレビルドといって、建設前に売り出し、ある程度の資金を集めてこれを建設資金に充てる、海外物件ではよくある手法なのですが、販売がふるわないと資金が集まらないので建設開始が伸びている可能性があります。また、現地の建設認可が下りていないのに販売を開始したため建設できないでいる可能性もあります。
Bさんは部屋の利用者の募集を現地の管理業者に委託していましたが、この業者が積極的に動いてくれず、利用者がまったく見つかりませんでした。しかたなくBさんは自分でも利用者の募集をすることになりました。管理業者を変えることも考えています。
Cさんが購入したのは価格の割に豪華な外観と設備の物件。想定利回りが高くおトクな買い物と思っていましたが、この物件は、これから大規模開発が計画されているわけでもなく、外国人街でもなく、観光地としてもそれほど魅力があるとはいえない海があるだけの町の郊外に立つ物件でした。当然利用者はいません。外国人観光客はめったに来ませんし、現地の人にとっては家賃が高すぎます。冷静に考えればわかるはずですが、不動産投資は物件の利用者がいないと資金の回収はできません。たくさんの利用者が見込める街の物件であることが失敗しない海外不動産投資の必須条件で、価格と利回りに惑わされないことが重要です。あきらめたCさんは物件を売却することを決断しましたが購入価格を大幅に下回る価格でも買い手は見つかっていません。
Dさんは物件を手に入れて1年以上たつのに利用者がありません。不審に思ったDさんが現地に乗り込み、言葉に苦労しながら調べたところ、管理を委託していた現地業者のスタッフが物件利用者を無断で民泊として宿泊させ、宿泊料を懐に入れていたことがわかりました。怒ったDさんは現地で裁判を起こしました。ところが判決は、オーナーであるDさんの管理不行き届きということでDさんの敗訴。Dさんが外国人であることが災いしたのかもしれません。
なにもない田舎だったところに外国資本の工業団地ができたことで賃貸需要が高騰した町でのこと。価格は安くはありませんが、想定利回りの高い物件を購入したEさん。しばらくは笑いが止まりませんでした。ところが賃貸需要を物件供給が上回ったことにより家賃が暴落。焦ったEさんはこの物件に見切りをつけ売却しようとしましたが、この町の不動産価格全体が下がっているため、購入したときより随分安く売らざるを得なくなりました。
いま流行りの民泊。この需要を見込んでFさんは海が見える観光地に物件を購入しました。民泊サイトを見るとこの周辺のいくつかの物件も利用者を募集しています。募集業務と部屋のメイキングは現地の業者に委託しました。利用率は思ったほど伸びませんでした。調べてみると、部屋の手違いや募集手段に不備がありました。管理を委託した現地業者に悪意はありませんでしたが、そもそもこの業者は民泊に関する管理をしたことがない仲介を専門とする業者でした。現在Fさんは知り合いから聞いた日系の管理会社への管理変更を考えています。